Appleのハードでアプリケーションを作りたかったら、Objective-Cを覚える必要がありました。Objective-Cは面白いプログラミング言語だとは思いますが、欠点も多い言語です。
- C言語の部分と、オブエジェクト指向言語部分で文法がバラバラ。まさに付け足した感じで見た目が綺麗でない。
- 特にオブジェクトのメモリ管理が難関。バージョン1では自分で参照カウンタを管理→バージョン2でガベージコレクタ→ARC(std::shared_ptrのようなもの)とコロコロと仕様が変わっている。
- メソッド(メンバ関数)やインスタンス変数(メンバ変数)の呼出が直接呼出や関数ポインタ呼出になっておらず、動的言語っぽく関数名の文字列から関数を取得するので遅い。
これらを解決するための新しい言語がSwiftなのでしょう。Objective-Cに対してC言語のプログラムとソースレベルで混在できないという問題がありますが、それは大したことではないですし、iOSのアプリケーションは作りやすくなるかと思います。これからiOS用のプログラミングをする人にはSwiftを勉強したほうがいいでしょう。
さて、Swiftと言う言語ですが、パッと見た目はfuncやvarやletという予約後からJavascriptに似ていると私は思いました。また関数の返り値の型の指定はC++11っぽいと。しかし、実際にはRustという言語の影響が大きいようです。RustはMozillaによってC++の置き換えを狙って作られた言語で、C++に似た文法を採用しています。実際、Rustの言語仕様を見てみると、fn, letなどかなり似ており、RustからC++っぽい::などを除いたのが、Swiftと言う感じもします。
また、Haskelの利点でも言われていますが、「変数の値の変更がバグを産む」と言われています。C++でもconstキーワードがC言語に比べて重視されているのと似ていますが、letのような値を変えられない変数の定義を主役にするのが、なかなか面白いです。
また、Appleの発表ではObjective-CよりSwiftの方が、作成されたアプリケーションの方が速いとのことです。これは以下が考えられます。
- id型のようななんでも型を無くして、型を型推論(C++11のautoと同じ)で簡単に型を付けられるようにしたこと。
- letの値は変更できないことが保証されるため、最適化がしやすい。
- メソッドの呼出方法が変わった(推測)
しかし・・・
結局、AppleのAppleによるAppleのための言語というのが私には引っかかります。これからObjective-Cはどうなっていくのでしょう?APIであるCocoaがObjective-Cベースのため、簡単に消えることはないでしょうが、最終的には消えていくことになるような気がします。
RustもSwiftのように良いプログラミング言語ですが、知名度が低いのは言語を作った所の知名度のためでしょうし、Appleが廃れたときにはSwiftも廃れそうです。
Javaのように言語仕様の著作権を、その作成元のOracleが主張するような世の中では、Swiftが他のプラットフォームに移植されるとも考えにくい気がします。
その点、C/C++は歩みが遅かったり、色々と問題もありますが、ISOに承認されて誰でも使用できるプログラミング言語であることが利点だと思いました。Objective-Cと違い、SwiftはC言語を前提にはしておらず、また良い言語だとは思いますが、まだまだC/C++を勉強する価値はあるのでは無いかと思います。
おまけで同じく発表された3D APIのMetalの話。AMDのMantle、MicrosoftのDirectX12と、今までの3D APIに比べてハードよりの3D APIが話題になっている。今まで使用されていたOpenGLはMantle並にオーバーヘッドが少ないとのことなので、Metalはどこが違うのかと思ったら、Metalは更にハードよりで、PowerVR6に特化しているらしいです。Metalは従来より10倍速いと言っていますが、「ドローコールが」という書き方なので怪しく感じます。ゲーム全体の速度としてどうなるのだろうか?
iOSは画面サイズが固定化されているため、画面サイズの違う端末を作りにくい。iPadでは画面2分割案も出ていましたが、画面サイズが自由なAndroidやWindowsに比べて、かなり難しいでしょう。Appleの環境ではプログラミングもどんどん固定化されていくのでしょうね。
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