なぜ BitTorrent Sync と Raspberry pi か?
現在は、パソコン・タブレット・スマートフォンなど複数のデバイスを使うマルチデバイスの時代と言われています。複数のデバイスで同じデータを扱うにはDropBoxなどのクラウドサービスにデータを置くことが主流です。しかし、代わりに BitTorrent Sync と言うを使うと以下の利点があります。
- 容量に制限がない(デバイスの容量、加入ISPの帯域幅が制限となる)
- Wi-Fiを使用している時には、Wi-Fiで同期をするため、ISPに帯域幅の制限される心配が少ない
- Google Readerのようにサービスが終了する心配が少ない
- サービス提供側にデータを覗かれる心配が少ない
一方、弱点としては常に同期をとる時にはデバイスの電源を入れておく必要がある欠点がありました。そこで、Raspberry Piを使用し、Raspberry Piを電源入れっぱなしのサーバー(サービスを提供するパソコン)にすることで問題を解決します。Raspberry Pi には以下の利点があります。
- 安上がり(すでにある物を使えば、部品を全部揃えても一万円程度)
- 消費電力が少ない(多くても3W。1KW/hが30円と高めに見積もっても、1年電源入れっぱなしで790円)
- サーバーの知識が少なくても出来る(情報が多い)
ただし、壊れた場合などは自己責任になったり、欠点もまだあります。
導入の説明
なるべくパソコンにあまり詳しく無い方にも分かりやすいように、Raspberry PiをBitTorrent Syncのサーバにするための説明したいと思います。しかし、ソフトウェアのインストールやエクスプローラの使い方などある程度の知識を持っていることが前提ですので、ご了承ください。またBitTorrent Syncのパソコンやスマートフォンでの使い方は別のページを参照してください。
部品の購入
部品を揃えます。以下の部品が準備に必要です。一緒の物を買う必要はないですし、最初のルーターを除いて、残りは準備に必要なだけです。すでに同種のを持っているのであれば、一時的にそれを使用すれば良いです。私はすでに持っている物を使用したので、下記の動作保証はできません。
必要な物 | 説明 | 例 |
---|---|---|
UPnPに対応したルーター | 最近ではほとんどの方が家に無線LANのルーターを持っているのではないかと思います。大抵はUPnPに対応しているので、それを使えば良いです。また今回は有線のポートがあるタイプを想定します。詳細はルーターの説明書を見てください。例(→)はBUFALLOの一番安い製品ですが、たぶんコレでも大丈夫と思われます。 | |
SDカードを読み書きできるパソコン | WindowsでもMac OS XでもLinuxでも可能ですが、今回の説明ではWindowsを使用します。SDカードスロットがある機種の場合には、それを使えばよいですし、無い機種の場合には、USBのアダプターがありますので、それを使用します。Amazonでは安いのが無かったのですが、アダプターは例の(→)よりもっと安い物もあります。安物で十分です。 | |
モニタまたはテレビ | Raspberry Piのセットアップ時に表示を行います。PCのモニタまたはHDMI端子のあるテレビでも良いです。地デジ対応テレビであれば、大抵HDMI端子が付いていると思われます。 | |
HDMIの接続ケーブル | テレビにつなぐ場合にはHDMIの通常のケーブルで良いです。PCのモニタにつなぐ場合には、HDMIをDVIに変換するケーブルが必要になるかもしれません。私はPCのモニタにDVIで接続したため、例の(→)ケーブルを持っていたので使用しました。 | |
USBマウス | USBマウスなら何でも良いです。トラブルを避けるなら有線の方が良いです。例(→)はなるべく安いを選びましたが、もっと安いのがあるかもしれません。 | |
USBキーボード | USBキーボードなら何でも良いです。トラブルを避けるなら有線の方が良いです。例(→)はなるべく安いを選びましたが、もっと安いのがあるかもしれません。 |
以下はサーバーとして使用開始後も必要です。ネットワークケーブルを除いて残りの3つは私が実際に買った物なので、動作確認できています。
必要な物 | 説明 | 例 |
---|---|---|
Raspberry Pi | Raspberry Pi 本体とケースです。黒い方が置いていて違和感が少ないと思い、私は黒のケースを選んでいます。RSコンポーネントなどからでも買えますが、Amazonでも十分安いと思います。 | |
電源 | microUSBで5Vで700mA以上の供給ができる物であれば、何でも良いです。大抵のスマホ用のAC充電器であれば、問題ないです。例(→)のAC充電器は1Aです。 | |
SDカード32GB | USB接続の大容量HDDをつなぎ、そこにデータを置くことも可能ですが、今回の説明ではSDカード内にデータを置くため、大きめのサイズのSDカードを使います。約30GBはデータを置けますし、HDDを追加すると消費電力も増えるので、まずはSDカードのみで始めるのが良いかと思います。 | |
ネットワークケーブル | 有線ネットワークのケーブルなら何でもよいです。例の(→)は1mですが、ルーターの近くに置くのであればもっと短くても良いです。Raspberry Piを置く場所を考えて長さを決めてください。 |
SDカードにRaspberry PiのOSを入れる
Raspberry Piはお店で買うWindowsパソコンと違い、OSと言うものを入れる必要があります。SDカードを読み書きできるパソコンを使ってSDカードにOSを入れます。
- Raspberry Pi のダウンロードページから Raspbian のイメージをダウンロードします。2013年12月現在は、 2013-09-25-wheezy-raspbian.zip です。圧縮された形式となっています。
- 2013-09-25-wheezy-raspbian.zip を解凍してください。2013-09-25-wheezy-raspbian.imgというイメージファイルが出来ます。
- SDカードをPCに接続し、ドライブ番号を確認してください。ドライブ文字はエクスプローラの左の列で(例えばG:のように)確認できます。
- Win32 Disk Imager と言うソフトウェアをダウンロードします。同様にzipファイルとなっています。
- zipファイルを解凍して、Win32 Disk Imagerを実行します。管理者で動作させる必要あるかもしれないので、右クリックして「管理者で実行する」を選択してください。
- 上記で解凍したイメージファイルを選択してください。
- SDカードのドライブ文字を選択してください。正しいドライブを選択するよう注意してください!間違えるとパソコンを壊すことになります。もしSDカードスロットを使用していて、SDカードのドライブ文字が表示されない場合には、USBのアダプタを使用してください。
- Writeをクリックし、書き込みが完了するのを待ちます。
- Win32 Disk Imagerを終了して、SDカードを取り出してください
- これでSDカードへの書き込みは完了です。
Raspberry Pi にSDカードやケーブル等をつなぐ
Raspberry Pi にSDカードやケーブル等をつなぎます。以下の画像を参考にしてください。Raspberry Pi は電源スイッチが無く、電源線をつなぐとすぐに起動します。そのため、電源は最後につないでください。
Raspberry Pi を起動してOSのセットアップをする
電源線をつなぐとRaspberry Piが起動して、画面に文字が流れた後、以下のような画面が表示されます。
ここでセットアップ作業を行います。操作の仕方はカーソルキーで移動して、Enterキーでメニューの選択します。下側の<Select>や<Finish>を選択するときには、タブキーで下側と上側を切り替えます。
- 「Expand Filesystem」 を選択してください。SDカードの32GB全体を使用するようにします。少しすると最初の画面に戻ります。
- 「Internationalisation Options」を選択すると以下の画面になります。ここでは日本語環境のセットアップを行います。
- 「Change Locales」を選択してください。使用する言語の選択を行います。日本語の「ja_JP.UTF-8」と念の為に英語の「en-US.UTF-8」を選択してください。[*]が選択されたのが、選択された状態です。
- 次にデフォルトの言語を聞いてくるので、「ja_JP.UTF-8」を選択してください。
- 最初の画面に戻ったら、次は「Internationalisation Options」→「Change Timezone」を選択してください。タイムゾーンの設定(時刻を日本に合わせる)を行います。ここでは「Asia」→「Tokyo」と順に選択してください。
- 再度最初の画面に戻ったら、次は「Internationalisation Options」→「Change Keyboard Layout」を選択してください。日本語キーボードを使用できるようにします。ここでは「Generic 105-key (Intl) PC」→「Ohter」→「Japanese」→「Japanese - Japanese (OADG 109A)」→「The default for the keyboard layout」→「No compose key」→「No」と順に選択してください。
- 最初の画面において「Finish」→「Yes」で再起動します。
- 再起動するとメッセージが流れて、「raspberrypi login:」と表示されます。ここで「pi」と入力しEnterキーを押すと、「Password:」と表示されるので「raspberry」と入力し(入力した文字は見えません)、Enterキーを押します。次に「pi @raspberrypi ~ $」と表示されるので、「startx」と入力してEnterを押してください。
- Windowsに似た画面が表示されたと思います。操作もWindowsに似ているので問題ないかと思います(ただ動作は遅いですので、待ちながら操作してください)。以上でセットアップは終了です。
BitTorrent Syncのセットアップをする
BitTorrent Syncのソフトウェアをダウンロードし、起動時に動作するようにします。
- Midoriというブラウザ(インターネットに接続するソフト)がありますので、それを起動します。右上辺りにアイコンがあるので、タブルクリックで起動します。
- 「http://www.bittorrent.com/sync」のサイトを表示し、 「Get BitTorrent Sync フリー ダウンロード」をクリックします。
- 「Linux」の「ARM」をクリックすると、「btsync_arm.tar.gz」を保存するかどうか聞いてきますので保存します。
- LXTerminalをを起動します。右真ん中あたりにアイコンがあるのでダブルクリックして起動します。
mkdir ~/.btsync && cd ~/.btsync mv ~/btsync_arm.tar.gz ~/.btsync tar -xvf btsync_arm.tar.gz sudo leafpad /etc/init.d/btsync
- 4の最後の行の入力が終わるとテキストエディタが起動するので、テキストエディタに次のように入力して「ファイル」-「保存」で終了します(もちろんコピペで良いです)。
#! /bin/sh # /etc/init.d/btsync # # Carry out specific functions when asked to by the system case "$1" in start) /home/pi/.btsync/btsync ;; stop) killall btsync ;; *) echo "Usage: /etc/init.d/btsync {start|stop}" exit 1 ;; esac exit 0
- テキストエディタが終了したら、またLXTerminalで続けて以下のように入力してください。2行目を行った所で警告が表示されるかもしれませんが、気にしないでください。
sudo chmod 755 /etc/init.d/btsync sudo update-rc.d btsync defaults sudo /etc/init.d/btsync start sudo mkdir -p /media/SYNC
- 再度Miroriのブラウザに戻って、「http://127.0.0.1:8888」のサイトを表示してください。 BitTorrent Syncの設定画面が表示されれば、BitTorrent Syncが動作していることになります。管理者の設定をした後下記の右側のような画面になります。
- 右上のボタンの「Preferences」をクリックして表示されるウィンドウで「Language」を「日本語」にし、「Save changes」で終了すると、画面が日本語に変わります。
- 「フォルダの追加」で シークレットキーを入力する(すでにBitTorrent Syncを使っていてキーがある場合)または、生成ボタンを押して生成して(新規に作成する場合)、フォルダを/media/SYNCに選択してください。(このフォルダに同期するデータが保存されます)。
- 9で新規に作成した場合は、シークレットキーを覚えておいてください。他のパソコンやスマートフォンから同期の設定をするときに使用します。
- 以上でBitTorrent Syncのセットアップは完了です。
Raspberry Pi をBitTorrent Syncのサーバーとして動作させる
BitTorrent Syncセットアップが終了したら、一旦終了させます。「ログアウト」すると起動直後の文字の画面に戻るので、ここで「sudo halt」と入力します。画面が流れ、真っ黒になったら電源線を抜いてください。
ケースにRaspberry Piを入れて後はUSBキーボードとUSBマウスとHDMIケーブルは抜いてしまい、ネットワークケーブルと電源線だけにします。電源を入れた後に他のパソコンやスマートフォンなどと同期ができていることを確認してください。
私もこの状態で1周間ほど電源を入れっぱなしにして動作させていますが、問題なく動作しており、なかなか便利に使っています。
本当は上記の設定だけでなく、日本語入力の設定や、IPアドレスの設定、パスワードの変更もしておいた方が良いですが、とりあえずRaspberry PiをBittorent Syncのサーバーとして動作させるまでは以上です。
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